子育てワンポイントアドバイス

才能褒めと努力褒め

褒め育てが子どもにとって良いのは、周知のことだと思います。乳幼児期に褒められると発達が促進されるという研究報告もあります。褒められ続けている子どもは「主体性」「共感性」「運動や感情の制御」などの心のコントロールが早い段階で、できるようになります。
ただ、褒めるといってもやみくもに褒めればいいというものではありません。実は「褒め方」の違いで、能力が上がったり下がったりするのです。
ここに、学力に関する「褒め方」の効果を調べた研究があります。
小学生を対象にIQテストを実施した後、ランダムに 2 つのグループに分け、一方にはテストの結果について「頭がいいね」と能力を褒めるようにし、もう一方には「よく頑張ったね」と努力を褒めるようにしました。その後、2 回目にはかなり難しいIQテストを、3 回目には最初と同じ難易度のIQテストを実施しました。その結果、能力を褒められたグループは 3 回目で成績を落としたのに対し、努力を褒められたグループは成績を伸ばしたのです。
「頭がいいね」と能力を褒められたグループはテストを受ける理由が「良い成績をとることにある」と考えたため、2 回目のテストで悪い成績をとったときには「自分には能力がない」とやる気を失ってしまい、努力をしなくなりました。そして 3 回目のテストでさらに成績が下がったのです。
「よく頑張ったね」と努力を褒められたグループは 2 回目で悪い成績を取ったときに「努力が足りなかったせいだ」と考え、より一層努力をするようになりました。それで 3 回目でさらに成績が上がったのです。この実験を行ったコロンビア大学の心理学者クラウディア・ミューラー教授は「能力を褒めることは、子どものやる気を蝕む」と結論づけています。
子どもの能力を引き出すためには、努力の大切さを教えることが重要です。
お子さまを褒めるときは「頭がいいね」と褒めるよりも「今日は 1 時間も勉強できたね」というように、もともとの才能ではなく努力を褒めることを意識しましょう。

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